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2014/09/19

【借金はどうなるの?相続の際に注意すべきこと!】明るい相続を目指す弁護士の芳賀由紀子です。


ある家族のお話です。母親が亡くなった後,1人暮らしをしていた父親が突然亡くなり,独立して別々に暮らしていた長男のA男さんと次男のB男さんが,父親の死後の手続を行うことになりました。A男さんとB男さんは,忙しい仕事の合間を縫って,何とか,父親のお葬式や荷物の整理などを行いました。四十九日まで終わって,ほっとしたのもつかの間,半年ほど経ったある日,突然,○○金融から電話がかかってきました。父親に1000万円貸していたので,相続人であるA男さんとB男さんに返済してほしいという電話です。借用書もあると言っています。驚いたA男さんとB男さん。父親からは借金があるという話は聞いたことがなく,遺言もめぼしい財産もなかったことから,相続については深く考えていませんでした。

父親に1000万円の借金があったなんて寝耳に水。A男さんとB男さんは,父親の借金を返済しなくてはならないのでしょうか。

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相続人が相続するものは,プラスの財産だけではありません。
そんな都合のいいことはありませんよね。もちろん,マイナスの財産,すなわち借金も相続します。
 よって,プラスの財産より,マイナスの財産が多い場合には,借金だけが相続人に相続されることになります。

 このケースでは,相続開始後半年経っており,相続放棄ができる「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月」という期間が過ぎていたので,結局,相続したA男さんとB男さんが父親の借金を返済せざるを得なくなりました。

相続というと,何かしら財産がもらえるイメージがありますが,逆に借金を背負い,自分が支払う側になってしまうこともあるのです。

プラスの財産より,マイナスの財産が多い方が亡くなった場合には,相続人が借金を背負うことになってしまうため,その人を相続する場合には気を付けなければなりません。

財産状況が正確に把握できない人を相続することになった際には,十分注意して,「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月」という期間が過ぎる前に相続放棄するかどうかをきちんと検討する必要があります。

また,相続される側の人も,プラスの財産より,マイナスの財産が多くなりそうな場合には,そのことを自分の相続人に伝えておくようにしてください。そうしなければ,相続人は不測の借金を背負うことになってしまい,あなたの生前の行いがどんなに良かったとしても,あなたを恨むことになってしまいます。

相続放棄すればよいことが分かっていれば,相続が発生した場合,相続人は,相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に,家庭裁判所に相続放棄の申述書と戸籍謄本などの必要書類を提出することで,被相続人の借金を引き継がなくても済むようになります。

不安な場合には,一度,弁護士などの専門家に相談してみることをお勧めします。

<参照条文>

(相続の承認又は放棄をすべき期間)
915条  相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2  相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

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